- 体調を崩しやすい
- 体力がなく疲れやすい
- 心がつらい
- アザが出来やすいなど
潰瘍性大腸炎の「お腹の症状」のほか、このようなお悩みを抱えていませんか?

こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

ストレス解消の栄養素、【ビタミンC】!
私たちは日々、さまざまなストレスにさらされています。
ストレスには、ネガティブなもの、ポジティブなものが存在していて、
多少のストレスは、パフォーマンスを上げるため必要とされていますが、
「過剰なストレス」が押し寄せる状態は、サビの原因である「活性酸素」を生み出してしまうんですね。
潰瘍性大腸炎は、この「活性酸素」と深い関りを持っているので、なんとしても、取り去りたいところ。
体にはもともと、活性酸素に対応する機能が備わっていますが、過剰なものが長きに渡る場合、対応しきれないのが現状です。
そこで、頼りになるのが抗酸化物質(こうさんかぶっしつ)、【ビタミンC】なんですね
今日は、そんな【ビタミンC】の生理作用や、【ビタミンC】を多く含む食品について
一緒に見ていきたいと思います。
ビタミンCについて
潰瘍性大腸炎との関わり
抗酸化物質(こうさんかぶっしつ)【ビタミンC】 が、
潰瘍性大腸炎の発症に予防的であることが、2021年愛媛大学の研究で示されました。
研究は潰瘍性大腸炎の症例384名と 対照群の666名のデータを活用し行われました
下記の、食品・栄養素の摂取と、潰瘍性大腸炎との関連を調べた研究です。
- 野菜
- 果物
- 抗酸化物資:ビタミンC・ビタミンE・ビタミンA(レチノール)、αカロテン・βカロテン・クリプトキサンチン

結果ですが、【ビタミンC】と、【ビタミンA】(レチノール)の摂取は、潰瘍性大腸炎のリスク低下との関連を認めています。
詳細は下記の記事をご覧下さい。
日本潰瘍性大腸炎研究/愛媛大学 世界初の研究成果!レチノール摂取が潰瘍性大腸炎発症に予防 論文発表 | プレスリリース | 愛媛大学プレスリリース資料はこちら(PDFファイル 563KB)
ストレスとの関わり

私たちの身の回りには、多様なストレスが存在しています。

- 病気
- 激しい運動
- タバコ
- アルコール
- 疲労
- 睡眠不足
- 季節(暑さ寒さ)
- 環境汚染
- 食品添加物
- 心の負担
人はストレスを受けると、そのストレスに対応するため、ホルモンを分泌します。
これが、副腎髄質ホルモン(ノルアドレナリン)です。
ノルアドレナリンは、脈を速くし、血圧や血糖を上昇させ、ストレスを乗り切ろうとします。
このシステムが稼働する際に、ビタミンCの需要が高まるんですね。
体内には「1500mg」程の、ビタミンCが蓄えられていますが、
日々、ストレスが押し寄せている状態ですと、 食品で補っても消費量が早く、
実際は十分に摂れていない、という問題に直面します。

ビタミンCの作用
【ビタミンC】は、三大栄養素のように、「力のもと」にはなりませんが、
体つくりの手伝いをし、体を守り、調子を整える、大切な栄養素です。
- 抗酸化作用に関与
- コラーゲンを作る
- 鉄の吸収をサポート
- 骨の形成(カルシウム吸収と代謝)
- 酵素の働きを助ける
- ステロイドホルモンをつくる(抗ストレス)
- メラニン色素を抑制
- 免疫力を高める
- アルコール分解を助ける
- その他

嬉しい事に、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります
抗酸化作用
【ビタミンC】は、「 抗酸化物質 」。
抗酸化物質は、活性酸素の発生や、働きを抑制したり、取り除く役割のある物質です。

ストレスがもとになり、押し寄せる活性酸素は、他の物質を、「サビさせる力」が強力なため
血管や臓器などを傷めてしまうんですね。
私たちは、この過剰な活性酸素を、どこかで断たなければなりません。
コラーゲンをつくる
体の中の、タンパク質の「1/3」を占める「コラーゲン」 は、
皮膚・血管・骨・歯など、さまざまな場所で、「細胞と細胞を繋げる」役割を担っています。
コラーゲンは、【ビタミンC】と、鉄の働きによって作られますので、
ビタミンCが不足すると、細胞間の繋がりが弱まるんですね。
血管で言えば、アザが出来やすくなったり、骨はもろく、骨折しやすくなってしまいます。
免疫力を高める
体内に侵入した、細菌やウイルス・有害物質と闘うため、
私たちには、免疫システムが備わっています。
システムが稼働する際、白血球やリンパ球などの、免疫細胞が活躍しますが、
その免疫細胞に、【ビタミンC】が含まれているんですね。

ビタミンCの摂取が、免疫システムを強化します。
1日の推奨量
年 齢 | 男性推奨量 | 女性推奨量 |
18~29 | 100 | 100 |
30~49 | 100 | 100 |
50~64 | 100 | 100 |

男女共に、「1日100mg」のビタミンCが必要です
不足
【ビタミンC】の不足により、免疫力が低下します。
疲労や食欲不振、貧血・肌の張りを失う・血管や骨がもろくなる、などの症状がありますよ
壊血病
壊血病は、全身の血管がもろくなり、出血傾向からそのまま死に至る病気です。
皮膚だけでなく、血管の細胞同士も、コラーゲンで繋がれているため、
コラーゲンを作るビタミンCの欠乏は、血管を脆弱化(ぜいじゃくか)します。
バスコダガマによる、インド航路発見の際、160人中100人の船員が死亡したという話があります。
これは長期間に渡る航海で、新鮮な野菜や果物を、摂取することができす、
ビタミンCが欠乏した結果なんですね。
過剰
【ビタミンC】の毒性は低いです。
摂取してから「2~3時間後」に、尿として排泄されるため、高用量でも重篤な症状は出ませんが、
サプリメントによる大量摂取で、吐き気・下痢・腹痛などを起こす場合があります。
余剰分は体外へ出るので、通常の食事で過剰摂取はないと考えてよいですが、
これは、病気の方に対する考え方ではないんですね。
腎臓の働きが悪い方は、いらないものを排泄することができません。
【ビタミンC】を大量に摂ると、その代謝産物である「シュウ酸」が各臓器に蓄積し、
「シュウ酸結石」のリスクが高まるということが、報告されています。

「1日1000mg」を超える過剰摂取は推奨できません
食品
ビタミンCを含む食品

野菜や果物、イモ類に多く含まれています
- ピーマン
- ブロッコリー
- 芽キャベツ
- かぶ
- ほうれん草
- ジャガイモ
- さつまいも
- レモン
- オレンジ
- イチゴ
- キウイ

摂り方のポイント

【ビタミンC】は水溶性で、熱や光・空気に弱いという特徴があります。
栄養素が、流出しやすいことを考えると、野菜・果物は、生で食べるのが好ましいですが、
加熱調理でも、溶け出した栄養素が、そのままいただけるスープやみそ汁・鍋などはおすすめです。
また、硬い食材に注意をしましょう。
潰瘍性大腸炎は、「低残渣」という考え方がありますので、
繊維をしっかり断ち、よく噛んで摂取してください。
煮る・蒸すなど、繊維を柔らかくする調理方法もよいでしょうね。
下ごしらえや調理法によって、失われる栄養素があることは、やむをえない部分ですが、

私たちが優先すべきことは、「胃腸に負担をかけない」ことです。
失われる栄養素については、サプリメント等を考慮するとよいでしょう。
イチゴや・キウイなどに含まれる、小さな種がお腹に合わないことがあります。
どの食品もそうですが、アレルギーがないか、あなたのお腹に合うのか、合わないのかを
ご承知おきくださいね。

下記の記事をぜひご覧くださいね
ジャガイモや、さつまいもに含まれるビタミンCは、でんぷんに守られているため、
流出しにくく、熱に強いのが特徴です

サプリメント
潰瘍性大腸炎は、バランスのとれた食事をすることが 難しいです。
次のような行動が、三大栄養素だけでなく、ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取を困難にしています。
- 不快感のある食品を避けなくてはいけない
- 食事自体を控えてしまう・食べることが怖い
- 肉や野菜・乳製品など一定の食品を避ける
私たちは健常者と比べると、栄養状態がアンバランスになりやすいため、上手にサプリメントを利用していきましょう。
量が多くても、数時間後に尿へ排泄されるため、分散してこまめに摂取できるよう、
1カプセルが「500㎎」のものや、小分けにできる パウダータイプがおすすめです。
まとめ

いかがでしたでしょうか
【ビタミンC】は、三大栄養素のように、「力のもと」にはなりませんが、
体づくりの手伝いをし、体を守り、調子を整える、大切な栄養素です。
日々、絶え間なく消費され、さらには体内に蓄えることができませんので、
毎日の食品から、補う必要があります。
潰瘍性大腸炎に関わる、ストレスが生み出す「活性酸素」を、抑える働きを持っていますので、
ぜひですね、抗酸化物質の女王、【ビタミンC】を摂取していきましょう。

今日もありがとうございました

お体ご自愛下さいね

参考文献
- 食品成分表 2021 女子栄養大学出版
- 日本潰瘍性大腸炎研究:愛媛大学 研究論文
- 厚生労働省 eJIM ビタミンC