- 牛乳を飲んでも良いの？
- 栄養を摂りたいけど牛乳を飲むことに抵抗がある
- 牛乳が体に合わないようだ
- 情報がたくさんあってどうしたらよいかわからない
- チーズやヨーグルトは食べてよい？
こんなお悩みはありませんか？
こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします！
栄養満点の、おいしい【牛乳】
牛乳は、動物が作り出してくれた、天然の食品なのですが、
近頃、「牛乳は飲むな」「牛乳はこんなに怖い」などの、
良くないウワサ、否定的な意見が多くあがっています。
乳は、命を育む大切な栄養素ですよ。
こころや体を作り・調整する作用を持っていますので、
潰瘍性大腸炎により減少した体重や、免疫強化の力になってくれるでしょう。
今日は、そんな【牛乳】のメリットや、つきあい方などについて
一緒に見ていきたいと思います。
牛乳とのつきあい方
基本的な考え方
これは牛乳に限ったことではないのですが、
どんな食品であれ、まず下記の事をご承知おきください
- その食品が自分に合うか、合わないか
- その食品に対して、アレルギーを持っていないか
これはあなたの体のために、とても重要なことです。
何か食品を食べて、「お腹の症状」を複数回経験しているなら、
その食品をあなたのリストから外しましょう。
メモを残し、今後の食生活に反映して下さいね。
乳糖不耐症（にゅうとうふたいしょう）
乳糖は、乳に含まれる成分。
食物繊維と同様、善玉菌のエネルギーになり、その発育をサポートします。
カルシウムを吸収しやすくしたり、血糖値が急に上昇しないようにする作用もあります。
多くの代謝に関わっていますが、この乳糖を分解する「ラクターゼ」、
という酵素が体内において少ない場合、十分に消化することができないんですね。
これが「乳糖不耐症」です。
「未消化の乳糖」が大腸へ到達すると、ガスや有機酸を発生し、お腹の症状が現れるのですが、
最近の研究で、善玉菌が多いと、症状を起こしにくい事がわかってきました。
また、 一気に飲まない・温かくする・少量ずつ摂取する、料理に加えてみる、などの工夫をすれば、
症状を出さず摂取することができるかもしれません。
「乳糖不耐症」に関しては、まずは摂取方法を工夫してみて、
それでもお腹に合わないなら、リストから除外する、というかたちがよいでしょう。
腸内フローラの主役、善玉菌の記事をぜひご覧ください
牛乳アレルギー
これは、食品アレルギーです
乳糖不耐症と違い、免疫を介した反応で、場合によっては命に関わる危険性があります。
症状は、口の中の腫れや、喉のかゆみ、腹痛、嘔吐、まぶたの腫れ、息苦しさ、
意識がもうろうとするなどで、「アナフィラキシーショック」とよばれています。
「牛乳アレルギー」がある場合は、リストから牛乳を外しましょう
牛乳のメリット・気になる部分
メリット
牛乳の良いところは 「美味しい」、そして「栄養価が高い」ということです。
気持ちを穏やかにする作用もあるんですよ。
下記は、主な牛乳の栄養素です。豆乳と比較してみましょう
| 牛乳200ml | 豆乳200ml | |
| エネルギー | 122kcal | 88kcal |
| タンパク質 | 6.6ｇ | 7.2ｇ |
| 脂質 | 7.6ｇ | 4.0ｇ |
| 炭水化物 | 9.6ｇ | 6.2ｇ |
| カルシウム | 220㎎ | 30㎎ |
| レチノール | 76㎎ | ー |
| ビタミンB2 | 0.30㎎ | 0.04㎎ |
| ビタミンB12 | 0.6㎎ | ー |
タンパク質・脂質・炭水化物に加えて、ミネラル・ビタミンを、バランスよく含んでいるんですね。
注目したいのが、「レチノール」。レチノールは、ビタミンAです
潰瘍性大腸炎の発症・予防に効果的であることが発表されました。
詳細は下記の記事をご覧下さいね
カルシウム
カルシウムは、骨や歯の構成成分です。
神経の興奮を抑制したり、筋肉の動き、に関わっています。
1日に必要なカルシウムは「650ｍｇ」です、牛乳一杯を飲めば１/３をまかなう事ができますね。
納豆1パックは、およそ「45ｍｇ」ですので、その他食品と、組み合わせるとよいでしょう。
ビタミンB群
皮膚や粘膜を、正常に保つ働きのある「ビタミンB2」や、
赤血球の合成に欠かせない「ビタミンB12」を含んでいます。
タンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素は、
ビタミンやミネラルがあることで、代謝が促されるんですね。
【牛乳】は必要な栄養素を、バランスよく含んでいますので、非常に効率の良い食品と言えます。
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牛乳の気になる部分
乳糖不耐症と、牛乳アレルギー以外で、もう一点気になる部分があります。
それは、潰瘍性大腸炎の食事は、基本的に「低脂質」という考え方があるからです。
栄養価の高い牛乳ですから、脂質をそれなりに含んでいます。
例えば、「鮭の切り身・1枚」に、脂質が「3.6ｇ」含まれていますが 、
【牛乳】は、コップ1杯・「7.83ｇ」 です。
いかに牛乳が栄養満点か、ということを教えてくれますよね。
低脂質にする理由は、腸管を安静にできるからです。
クローン病は「1日30ｇ以下」の脂質制限があるんですね。
潰瘍性大腸炎は、寛解期は「制限なし」と案内されることがありますが、
制限なしという意味の捉え方に、注意をしてくださいね。
制限なし ＝ なんでも食べて良い、ということではありません。
1日に摂ってよい脂質の基準があります。
その範囲内で調整をすること、さらに「一回に摂る脂質量」に気をつけていきましょう
牛乳の代わり
栄養価の高い牛乳ですが、「牛乳は飲まない」という選択をする場合、
代替品（代わりになるもの）を取り入れて栄養をサポートしましょう。
豆乳などは、「乳糖」の不安要素が軽減されるため、取り入れやすいですね。
ヨーグルトやチーズ
ヨーグルトやチーズは、発酵の過程で「乳糖」が減少していますので、摂取しやすいでしょう。
脂質量に気をつけましょう
特にチーズは100ｇ中、「20～30ｇ」の脂質を含みます。
カテージチーズは割合が低く、「4.5ｇ」と利用しやすいですね。
ちなみに、６Pチーズは1個「4.7ｇ」・乳糖はゼロでした。
低脂肪乳
低脂肪牛乳は低脂質ですが、乳糖は牛乳より多いですね。
一日の脂質量を超えなければ、低脂質のこだわる必要はありません。
低脂肪乳ではありませんが、「アカディ」という商品が、乳糖を「約80％」分解しています。
コップ1杯（200ml）「脂質4.7g / 乳糖1.4g」ですので、
乳糖不耐症がある場合は、安心して飲むことができます。
スキムミルク
スキムミルク「1回20ｇ」を目安に摂取すると、牛乳1杯と同様の栄養が摂取できます。
乳糖は、牛乳と同じくらい含まれています。
保存がきく、というメリットが嬉しいですね。
乳糖を気にしないで飲めるもの
豆乳美味しいですよね
豆乳の栄養価は、牛乳より控えめですが、乳糖の心配がないので安心です。
オーツミルクは、脂質控えめで牛乳よりあっさりしています。カルシウムやビタミンD・B2・B12が強化され、コップ1杯で食物繊維が「2.4ｇ」摂取できます
アーモンドミルクは低カロリーです。カルシウム ビタミンD/B2・B12 鉄の強化、食物繊維も含まれています
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牛乳の摂取が困難ですと、不足する栄養素が必ず出てきますので、
穀物ミルクを代替品として、取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか
牛乳は決して悪ではありませんよ
一つの食品に偏った食べ方をすれば、健康に良いとされている食品も、必ず害が出てきます。
大切なことは、その食品が自分の体に合っているか、いないか、
あるいはアレルギーを持っているか という事です。
その点をクリアすれば、牛乳を飲むことができますので、
ぜひですね、栄養満点の牛乳を、取り入れていただきたいと思います。
また、代替品として乳糖が軽減されたものや、入っていない商品がありますので、
牛乳が飲めない時の選択しをしてみて下さい。
飲み物でホッとできる時間を、作ってくださいね。
今日もありがとうございました
お体ご自愛下さい
参考文献
- 食品成分表 2021 女子栄養大学出版
- 健康シリーズ14/斎藤恵子/女子栄養大学出版
- 一般社団法人Jmilk
