- 潰瘍性大腸炎は、プロテインを飲んでも大丈夫?
- お腹に合わないものや、アレルギーで食べるものが限られてしまう
- お肉や乳製品など、特定の食品を避けてしまう
- 食事に気をつかい、痩せてしまった

というあなたへ
潰瘍性大腸炎は、下痢や腹痛、血便を伴う病気です。
病態による「栄養不足」に加え、症状が落ち着いている「寛解期」さえも、
食事面でブレーキをかけ、体重を落としていないでしょうか?

こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

タンパク質は、体や心を作る大切な栄養素!
潰瘍性大腸炎でも、プロテインの種類や商品内容を、正しく理解して選択すれば問題ありません。
最近は、「プロテインの闇」と題して、さまざまな情報があふれていますが、タンパク質不足により、体重が減少し、「体の機能を維持できなくなる」ことのほうが、危ないことなんですね。
この記事では、タンパク質の生理作用とともに、下記の内容についてお伝えしていますのでぜひ参考になさってください
- 1日のタンパク質摂取量、目安
- タンパク質を何から摂取するか
- プロテインの利用
- お腹の弱いかたへ、おすすめのプロテイン
潰瘍性大腸炎と体重減少


潰瘍性大腸炎は、容易にタンパク質不足と、体重減少が起きます。
下記はその理由をあげています。
- 炎症でタンパク質が消費される
- ただれた腸粘膜を補修するため、タンパク質が使われる
- 胃腸の働きが低下(消化吸収)
- 食事制限
- 食事を控えがち
- 症状により食べられない
- アレルギーや体に合わない理由で、一定の食品が摂れない
潰瘍性大腸炎は、からだに貯蔵されたタンパク質が消費されることに加え、食事から十分に栄養素が補充できないこともあり、体重減少に繋がってしまうのですね。
食事のバランス
下記の図を参考にしてみましょう。タンパク質は、ご飯などの「第4群」にも多少含まれていますが、主な供給は、やはり「第1群」「第2群」からなんですね。

食品選びは、おのおの違います。冒頭であげたように、食品に対してのアレルギーや、体に合う合わない問題、潰瘍性大腸炎ゆえ、乳製品やお肉を食べないようにしている、などの理由があると思います。

私はお肉や大豆製品の摂取が少ないため、その部分をプロテインに置き換えています
潰瘍性大腸炎だからと気をつかい、摂取しない状況をそのままにすると、栄養素が偏り必ず体重減少を招きます。
お腹に優しそう、症状が起きなそうだからと、「お粥やおうどん」に偏るのも良くありません。栄養素はそれぞれの役割があり、どれも体に必要なものなんですね
- 【第4群】は、熱や力のもとになるもの
- 【第1・2群】は体を作るもの
- 【第3群】は体の調子を整えるもの

ご自身の食生活を振り返り、お気づきの点はありますでしょうか?
不足しがちな部分は、おそらく何かしら理由があってのことでしょう。第1・2群の摂取不足を感じた時は、無理をせず「プロテイン」に頼ることも一つの方法ですよ。
タンパク質でつくられるもの

下記はタンパク質を材料として作られるものです。
- 体の構成(皮膚や粘膜・髪や爪・筋肉など各組織)
- 免疫物質(抗体)
- 血液
- 消化酵素
- ウイルス殺菌酵素
- 心に関連したホルモン
- ストレスに対抗するホルモン
- その他ホルモン(脳・肝臓・骨・血糖・睡眠・etc)
「体の構成」は水分が約60%を占めていますが、水分を除いた状態ですと、約半分がタンパク質です。
タンパク質は「体の基盤作り」だけでなく、「体や心を守る・調整する」など、非常に多くの役割を担っていることがわかります。

タンパク質の摂取目安
炎症という病態は、タンパク質の需要が高まりますので、「活動期と寛解期」で必要量が異なります。
寛解期は、一般成人と同様、体重1kgに対して「0.8~1.0g」ですので、50kgの方は、「約50g」のタンパク質が、1日の摂取量となります。
タンパク質必要量 | |
寛解期 | 0.8~1.0g/kg |
再燃軽度 | 1.0~1.2g/kg |
再燃中等度 | 1.2~1.5g/kg |
重症 | 1.5~2.0g/kg |

タンパク質の詳細は、下記の記事をご覧ください。
症状改善を目指す手がかりになれば幸いです
「活動期・重症の時期」は、腸の粘膜が寛解期(体調の良いとき)と異なり、医師の管理下で栄養剤の利用や絶食しながら治療が行われます。

その際は、医師の指示に従ってくださいね
体調がわるいときの食事については、下記を参考にしてください。
おすすめプロテイン

プロテインというと、「フィットネス」や「筋肉トレーニング」のイメージがありますが、医療や高齢者・介護、メンタル治療、子供の成長など「心身の基盤作りの手段」としても使われます。
第1・2群の食品からタンパク質を補えるとよいですが、噛むちから、飲むちから、胃腸の消化吸収の問題、食欲の有無によっては、うまく摂取できない、摂れても胃腸の負担になる場合があります。

そこでおすすめなのが「プロテイン」なんですね。
消化吸収しやすく、胃腸にやさしいかたちになっていますので、効率よく栄養がとれるというわけです。
プロテインは主に3種類。
原料にアレルギーがないこと、ご自身のお腹に合う合わないを確認すれば利用できます。
種 類 | 原 料 | 吸 収 |
ホエイ | 牛乳 | スムーズ |
カゼイン | 牛乳 | ゆっくり |
ソイ | 大豆 | とてもゆっくり |
おすすめは、ホエイプロテインです。
ホエイの原料は「乳」ですので、お腹を心配されると思いますが、乳糖がほぼカットされ、お腹がゴロゴロしない「WPI 」 という商品があります。

乳類を敬遠し、ソイプロテインを利用する前に、「ホエイのWPI」を試し大丈夫ならぜひWPIを選択してください。
植物性を選びたい気持ち、よくわかりますが体重減少をサポートするならホエイです。
ホエイプロテイン

当サイトでは、「味のない商品」を強くおすすめします。
飲みやすくなっている商品は、「乳以外の材料」が入っています。チョコレートブラウニーや、クッキーアンドクリーム、バニラやココアなど。
味がついて美味しく生まれ変わった商品がたくさんありますが、例えばそれらの商品を利用して症状が現れた時、どの材料で症状が出たのか把握できなくなります。
潰瘍性大腸炎との付き合いがありますので慎重に、「原材料がシンプルな商品」を選択していきましょう。
下記を参考にして下さいね
- 香料不使用
- 合成甘味料不使用
- 保存料不使用
- 遺伝子組み換え作物不使用
WPI商品のご紹介
「WPI」は乳糖がほとんど含まれていない商品です。
「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」といい、乳に含まれる「乳糖」をまく処理できず、お腹がゴロゴロする場合があり、IBD患者さんに多いと言われています。
もちろん、大丈夫なかたもいらっしゃいますが、プロテインは少なくても500g~1キロの購入になります。買ったあとでお腹がゴロゴロした場合、やっぱりプロテインはダメだった~と諦める原因をつくりますので、そうならないため「WPI」を紹介しています。
また、乳糖不耐症とはべつに、乳アレルギーがなければ安心して利用できます。

私は上記を、朝食や間食に取り入れたところ、体重増加に繋がりました。
栄養満点の牛乳の力を、掛け合わせています。
WPI 1回分 | アカディ200ml | 合 計 | |
カロリー | 110kcal | 96kcal | 206kcal |
タンパク質 | 26.0g | 5.1g | 31.1g |
脂質 | 0.12g | 4.7g | 4.82g |
炭水化物 | 0.10g | 8.2g | 8.3g |
カルシウム | ー | 246㎎ | 246㎎ |
バナナやコーンフレーク・オートミールなどを追加して、カロリーや食物繊維を追加、青汁やユーグレナの粉末を入れると、ミネラル・ビタミンが強化されますよ。
注意したいことは、一つの食品に偏ること。一日に必要なタンパク質を全て「プロテイン」にするのではなく、補助のために利用するということをお忘れなく。
また、激しいトレーニングや筋肉増強のための紹介ではありません。利用する目的をまちがえないようにしましょう。


おすすめを二つ紹介します。
MAKES+グラスフェッドWPI
「グラスフェッド」とは、自然の環境で放牧され、牧草のみで育てられた牛のことで、こちらの商品は、その牛から絞った牛乳が原材料になります。
余計なものが一切入っていませんが、ダマになりにくく、粉に柔らかさがありました。香りや風味にミルクを感じられ、美味しくいただけました。
牛乳に溶かして飲むだけでなく、ヨーグルトや低脂肪アイス、コーンフレークと合わせても美味しいですよ。
スープ・シチューなどの料理や、おやつ作りにも利用できて便利です。
FIXIT THINK SIMPLE WPI
「余計なものは何も取りたくない」方の商品で、無駄なくシンプル・高品質です。
ミルク感は薄く、MAKES+よりさっぱりしていました。一食あたりのタンパク質は26.4gです。
WPC
WPCは、ホエイプロテインですが、製造過程の違いから乳糖が残っています。
「乳糖不耐症」がなければ、利用できますよ。
カゼインプロテイン
ホエイプロテインと同様、牛乳が原材料で乳糖が含まれます。吸収速度がゆっくりなため、血液中のタンパク質濃度を、長時間キープできる特徴があります。
成長ホルモンが分泌される、夜の時間に合わせ、睡眠前の摂取がおすすめでしょう。時間をかけて、タンパク質を補うことができます
ソイプロテイン
大豆が原材料です。植物性の商品は人気がありますね。
大豆に含まれる「イソフラボン」は、女性ホルモンの「エストロゲン」と類似構造を持ちますので、女性に好まれますが、
例えば毎日、納豆や豆腐を摂取している場合は、ソイプロテインの利用で「イソフラボンの過剰摂取」になりますので注意しましょう。
イソフラボンの過剰摂取は、特に女性において「UCのリスク増加」と関連している可能性がある、と示唆する研究が、PloS one誌2014年10月14日号に掲載報告されています。
まとめ


いかがでしたでしょうか
タンパク質不足は体重減少とともに、体のさまざまな機能が低下します。
潰瘍性大腸炎は、からだに貯蔵されたタンパク質が消費されることに加え、食事から十分に栄養素が補充できないこともあり、体重減少に繋がってしまうのですね。
一日のタンパク質を補うべく、胃腸にやさしく・消化吸収しやすい形になった「プロテイン」をぜひご活用ください。
当サイトでは、「WPI」をおすすめしています。潰瘍性大腸炎により落ちた体重をまずは「1kg」、取り戻していきましょう。
焦らずゆっくりですよ。

今日もありがとうございました

お体ご自愛下さいね
参考文献
- Care Net イソフラボンは潰瘍性大腸炎のリスクか日本人での検討
- 女子栄養大学出版 健康シリーズ21
- Medi Palette プロテインの効果とは