【潰瘍性大腸炎】治療の目標:寛解(かんかい)をコントロールすること

  • 治療はどのように進められるの?
  • どんな治療法があるの?
  • 潰瘍性大腸炎は治るの?
たかはし
たかはし

こんなお悩みはありませんか?

こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。

あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

【潰瘍性大腸炎】の治療の流れは、下記の二つに分けられます。

  1. 寛解導入療法(かんかいどうにゅうりょうほう)
  2. 寛解維持療法(かんかいいじりょうほう)

1は、今ある症状に対して行う治療、

2は、症状が落ち着いてからも、継続・維持される治療です。

病気の範囲、程度は軽いのか、重いのか、個々のからだの事情、

生活にどのような支障をきたしているかを考慮し、

  • 薬物療法(やくぶつりょうほう)
  • 手術療法(しゅじゅつりょうほう)
  • 血球成分除去療法(けっきゅうせいぶんじょきょりょうほう)

などが選択されます。

今回は1と2を、またその目標について、説明をしていきたいと思います。

治療の目標

潰瘍性大腸炎は、症状が落ち着いている「寛解期(かんかいき)」と、

症状が強く出る「活動期(かつどうき)」があり、

寛解期から活動期へむかう過程を、「再燃(さいねん)」と表現します。

治療の目標は、症状の改善と、寛解期をできるだけ長く維持することなんですね。

病気の詳細は、下記の記事をご覧ください。

寛解の判定

症状と腸粘膜(ちょうねんまく)の改善により、寛解の判定がなされます

症状の改善

つらい下痢や腹痛、下血がない。

炎症や貧血がない、といった内容が指標になってきます。

寛解期は、いつもの日常生活を送れるようになるんですね。

腸粘膜(ちょうねんまく)の修復

活動期の腸粘膜は、やけどをしたようにただれ、出血を伴ないますが、

寛解期の粘膜は、平穏を取り戻します。

定期的に行われる大腸内視鏡(大腸カメラ)で、その様子を伺い知ることができます。

寛解まもない頃は、症状がなくても、病変が残っているんですね。

気をつけたいことは、薬の飲み忘れ、自己にて内服を中断すること。

寛解期は、心身ともに穏やかさを取り戻すため、油断をしてしまいがちですが、

医師の指示を守りながら、いつもの生活を送ることが必要です。

治療の流れ

寛解導入療法(かんかいどうにゅうりょうほう)

「今ある症状」に対して行う治療です。

炎症や過剰になっている免疫反応を抑えて、「症状が落ち着いた状態」へ導きます。

手段としておもに 飲み薬や座薬(ざやく)などがあります。薬物療法(やくぶつりょうほう)ですね。

症状や病態がどれくらい重いかによりますが、重症のときは入院治療に切り替わり、

絶食をすることで腸を安静にしたり、点滴や注射が行われます。

また、薬の効きがわるく、治りが悪い例に対して、

「血球成分除去療法(けっきゅうせいぶんじょきょりょうほう)」が行われたり、

症状が深刻な例に対して、「手術療法」が行われます。

寛解維持療法(かんかいいじりょうほう)

活動期の症状は、とてもつらいものです。

腹痛や下血などの症状が、食事や睡眠、排泄、仕事へ影響を与え、

精神的にとてもつらい時期となるのですが、

治療をして症状が落ち着くと、心身の負担が軽くなり、日常生活は大きく変化するんですね。

「寛解維持療法」とは、このような良い状態を長期に保てるよう、

引き続き行われる治療のことをいいます。

飲み薬の量を少なくしたり、種類を変えるなどして、経過を見ていくことになるんですね。

症状が良くなったのになぜ?と思われるかもしれませんが、

潰瘍性大腸炎は「指定難病(していなんびょう)」です。

風邪や骨折などとは違い、完治しない病気で、

今はよくても、将来「再燃」する可能性があるからです。

治りの悪い「難治性(なんちせい)」というタイプもあるんですね。

しかしですね、寛解をむかえた際は、良い状態を長期に保つためにできることがあります。

それは、100%を治療に頼るのではなく、病気の「要因」となっている生活習慣を

改善していくということ。ここは医師が関われない部分なんですね。

ハンドルを握るのは、あなた自身であることを忘れないでください。

例えばですね、薬が減ったり、再燃がない良い状況が、一生続く可能性も出てきますから、

できることに妥協しないでほしいと思っています。

寛解 = 完治 ではありませんが、良い状態を保てることを、「ゴール」にすることはできますよね。

症状改善を目指す手がかりとなれば幸いです。

下記の記事をぜひご覧ください。

いまだ原因不明と言われている潰瘍性大腸炎ですが、

病態が解明され、治療が確立されると、指定難病から外れる日が来るでしょう。

いつか、完治する病気になることを心から願っています。

Dr. かなや
Dr. かなや

それでは今日はこのへんで

たかはし
たかはし

ありがとうございました

参考文献

  • 潰瘍性大腸炎診断基準(2021年1月改訂)
  • 潰瘍性大腸炎治療指針(2021年3月改訂)
  • 潰瘍性大腸炎外科治療指針(2021年1月改訂)