- 病院へ行くのが怖い
- 受診したらどんな検査をするの?
- 市販薬で済ませている
- 恥ずかしい
- 忙しい

気になるお腹の症状があるけれど、さまざまな理由で、病院の受診が後回しになっていませんか?
こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

私たちの腸で、炎症が起きてしまうと、その炎症はなかなかおさまりません
食べ過ぎによる下痢や、風邪による胃腸炎などは、放っておいても治ることがありますが、
「炎症性の腸の病気」は、市販の整腸剤や乳酸菌で対応できませんよ。
様々な理由で、病院を敬遠してしまう気持ちはわかりますが、
安易な自己判断が、炎症の範囲を拡げてしまうかもしれません。
症状を繰り返す場合は、早めの受診を心がけてくださいね

今日は受診から、診断までのお話です

よろしくお願いします
病院を受診して行われること
診断の手順
- 問診:もんしん
- 身体検査
- 血液・尿検査
- 便の検査
- 大腸カメラ
問診・身体検査
病院を受診すると、まず問診から始まります。

初診の時は、問診票を記入しますよ

診察室では、あらためて詳細をお聞きします
- どんな症状が、どれくらい続いているのか
- 便の回数
- 便の性状(粘血便:ねんけつべん / 下痢便など)
- 発熱
- 脈拍
- その他症状

血液・尿検査
問診等で、「潰瘍性大腸炎」が疑われる場合は、血液検査や尿検査が行われます。
血液検査でわかることは、おもに下記の四つです
- 炎症の程度
- 貧血
- 栄養状態
- 全身状態

それぞれの検査の項目により、その様子を知ることができます
おもな検査項目 | |
炎症の程度 | 白血球数 CRP(シーアールピー) 赤沈(せきちん) |
貧 血 | Hb(ヘモグロビン値) 赤血球数 Ht(ヘマトクリット値) |
栄養状態 | 総タンパク(TP) アルブミン値(Alb) 総コレステロール(TC) |
全身状態 | 肝臓や腎臓機能など |
症状が重く、出血が多い場合は、貧血に傾きます。

またつらい症状により、水分摂取や食事がままならず、栄養状態が悪くなるんですね。
尿検査の比重では、脱水の傾向を知ることができます。

下記は、重症度による分類です
重 症 | 中等症 | 軽 症 | |
排 便 | 6回以上/日 | 中間 | 4回以下/日 |
血 便 | (+++) | 〃 | (+ )~(-) |
熱 | 37.5度以上 | 〃 | (-) |
脈 | 90回/分以上 | 〃 | (-) |
貧 血 | Hb10g/dl以下 | 〃 | (-) |
赤 沈 | 30mm/h以上 | 〃 | 正常 |
CRP | 3.0mg/dl以上 | 〃 | 正常 |
重症の中でも、特に症状が激しく重篤なもので、
以下の項目を満たすものを、「劇症(げきしょう)」と呼んでいます。
- 重症の基準を満たす
- 15回/日以上の、血性下痢が続く
- 38度以上の、持続する高熱がある
- 10000/mm³以上の、白血球増加がある
- 強い腹痛がある

以下、「血便の評価」です
- +++:大部分が血液
- ++:ほとんどの排便時に、明らかな血液の混入
- +:排便の半数以下で、わずかに血液が付着
- −:血便なし
便の検査
便潜血
便潜血は、「便の中に血液」が含まれているかをみる検査です。
明らかな出血を認める場合は、省略することもあります。
便培養と寄生虫検査
ほかの病気と区別するため、便の中に「細菌や寄生虫」がいないかを調べていきます

症状が似ている病気は、たくさんあるんですよ
- 細菌性赤痢
- サルモネラ腸炎
- カンピロバクタ腸炎
- クローン病
- 薬剤性大腸炎
- 虚血性大腸炎
- その他
大腸カメラ
大腸カメラ検査は、腸内の様子を映像で知ることができます。
「炎症の程度」や、「病変の拡がり」を確認することができるうえ、
腸の一部をつまんで回収し、腸の状態をより詳しく調べることができます。
状態が深刻な場合、受診当日に行われることがありますが、
ほとんどの場合、「大腸カメラ検査の予約」をして、いったん帰ることになります

大腸カメラ検査に対して、「痛そう・恥ずかしい」と感じるかたは多いのではないでしょうか。
検査に伴う苦痛に対して、鎮静剤を使用することができますし、
皮膚の露出が最小限になる検査着を着用します。

プライバシーの配慮は十分なされていますよ
心配な事・不安な事があれば、看護師が対応しますので大丈夫。
大腸カメラ検査が心配で、病院へ行かれずにいる方は、お体のためぜひ一歩前へ進みましょう
診断までの期間
問診から診断までの過程で、
重要なことはやはり、「感染性腸炎」や「ほかの炎症性腸疾患」などを除外すること。
「病名」により、治療の方針が変わりますのでね。
必要に応じて、「胃カメラ」や「腸のレントゲン」
「小腸の検査」や「CTやMRI」などが追加で行われます。
診断はこれらの検査結果から、総合的かつ慎重に判断されるので、
検査の予約や、結果待ちを含めると、「2週間」~「1か月」程度の期間を要しますが、
その間も、つらい症状に対応いたしますので安心してくださいね

「潰瘍性大腸炎の症状」につては、下記の記事をご覧くださいね

それでは、本日はここまでにしましょうか。

最後まで、ありがとうございました
参考文献
潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針(2021年1月改訂)
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)