- 体力がなく疲れやすい
- 便が形にならない
- おならの臭いが強い

というあなたへ
こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

日本食文化の代表【白米】
そんな白米が体に良くない!という情報をよく見かけます。
- 精白米は健康に悪い
- 白い炭水化物はあなたを不健康にする
- 白米を今すぐ止めなさい
小さい頃からお米を食べてきた私たちは、少々少戸惑う内容ですが、どんな食品も「偏りや過剰摂取」という行動が良くないのであって、食品自体に問題はありません。
白米は、消化・吸収が良く十分なエネルギーを確保できる食品。
潰瘍性大腸炎は「腸の炎症や補修でエネルギーが必要」なので、白米は効率のよい食品であるといえます。また、「便づくり」や「健康」をサポートをする物質が存在しているんですよね。
症状改善を目指す手がかりになれば幸いです、ぜひご一読ください。
潰瘍性大腸炎と白米

健常者よりエネルギーが必要とされる理由
潰瘍性大腸炎では「十分なエネルギーを確保する」必要があります。なぜなら腸の炎症や補修にエネルギーが必要だから。
1日に必要なエネルギーの設定が、健常者より多くなっているのはその為なんですね。
白米をおすすめする理由は「高エネルギーで消化吸収が良い」ということ、問題点をクリアしてくれるからです。

白米の健康作用

精白米の誤解とメリット
精白米は、表面をちょっと削っただけのお米なんですが、 「 精白 」とか「 精製」という言葉に対して、なんだか体に悪そうだなぁというイメージを持っていらっしゃる方がおられると思います。
確かに削ったものの中に、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが含まれているので、その量が減ることになりますが、それぞれの栄養素がゼロになったわけではありません。
1/3~1/5の減少があったところで、例えばアミノ酸スコア(タンパク質のバランスの良さ)はほとんど変わらず高いエネルギーを持っています。
そして消化・吸収されやすい形に生まれ変わったことで、潰瘍性大腸炎のようなエネルギーを必要とする病態では、精白米は大変貴重な存在であります。
茶色い炭水化物が好まれる近頃ですが、玄米は玄米の、白米は白米のそれぞれ良いところがありますので、皆さんの健康状態や、お腹の様子を見ながら選択すると良いでしょう。

レジスタントスターチ

「レジスタントスターチ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
スターチは「でんぷん」、レジスタントは「 消化されにくい 」という意味を持っています 。
これまで「でんぷん」は、小腸においてすべて分解、吸収されると考えられていましたが、相反する「消化されにくい性質」を持った「でんぷん」が存在することがわかりました。

かなや先生
それが難消化性(なんしょうかせい)でんぷん、「レジスタントスターチ」です。
「レジスタントスターチ」の性質は、「食物繊維」に似ています。
食物繊維には、腸内環境を整える「水溶性食物繊維」と、便の量・質を良くする「不溶性食物繊維」の2種類がありましたが、「レジスタントスターチ」はこの二つの特徴を併せ持っているんですね。
白米は大腸の奥のほうまで届く「レジスタントスターチ」を含有していますよ。

食物繊維については、下記の記事をご覧下さい
レジスタントスターチの作用
下記は、レジスタントスターチの作用です。
- 大腸の奥まで届き、腸内発酵に大きな影響を与える
- 短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)を生成する
- 腸内環境を改善し、便通が良くなる
- 炎症性疾患の予防効果
- 血糖上昇を穏やかにする
- 心疾患のリスクが低減する可能性あり
- 脂質代謝の改善

ご飯を冷ますとレジスタントスターチが増えるんですよ!お昼のお弁当やおにぎりという選択も良いですね。
白米の過剰摂取
白米の過剰摂取は良くありません。
なぜなら、大腸内で発酵パターンを変化させ「コハク酸」を生成。コハク酸は、健康作用のある「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」を減らしてしまいます。
潰瘍性大腸炎例の便は、「コハク酸濃度」の上昇が認められています

どんな食品も、過剰になれば害が出てしまうんですね
短鎖脂肪酸 (たんさしぼうさん)
「短鎖脂肪酸」を増やしてほしいんですね。なぜなら、潰瘍性大腸炎は短鎖脂肪酸が少ないからなんです。
短鎖脂肪酸は腸に良いことがたくさんあり、その作用は腸内に留まらず全身の健康を整えていくことがわかっています。

下記は、短鎖脂肪酸の健康作用です。
- 腸内を弱酸性の環境にして、有害な菌の増殖を抑制
- 消化管の上皮細胞を増やす・修復する(腸の重要なエネルギー・血流を増加させる)
- 大腸での粘液分泌を促進(粘液によるバリア機能)
- 大腸の収縮(程よい動き)
- 免疫細胞機能に影響を与える・炎症を抑制する働き
- ナトリウム・水の吸収促進(下痢の予防)
「短鎖脂肪酸」をつくり出す役割を担うのが「 善玉菌 」です。善玉菌が活発に働くためには、食物繊維(エサ)が必要なんですね。

白米をおすすめする理由は、白米に含まれる「レジスタントスターチ」が、食物繊維と同じ働きをするからなんですよ。

短鎖脂肪酸の記事をぜひご一読ください。
白米食べて燃費よくチャージ

白米・炭水化物のとらえかた
生活習慣は個々で違います。
炭水化物大好き!という方が、炭水化物主体の食事を一気に摂取すれば、急激に血糖値が上昇して当然のこと。
白米はエネルギーが高いので、血糖値を心配されるかたがいらっしゃいますが、1日に必要なエネルギーの範囲内で、白米を摂取する分には全く問題ありません。

炭水化物について、下記の記事をご覧ください
白米へのおもい
精白米が悪者になっている理由は、海外のさまざまな国・地域を対象に行われた研究報告からでしょう。
日本人が参考にするべきは、日本の食文化の中で、炭水化物に対しての特徴的な遺伝子や、性別・年齢・個人の体質・健康のレベル、食事の食べ方、食べる順番・食べるスピード・食べ合わせ・量や時間など、多くの条件を揃えたうえでの結果でなければならないと思っています。
白米は、必要なエネルギーを燃費よくチャージできる食品です。
腸内環境を整え、全身の健康を整える機能的食品でもありますので、敬遠せず日々の食卓に取り入れてほしいと考えています。
まとめ


いかがでしたでしょうか
白米は、消化・吸収が良く十分なエネルギーを確保できる食品。
潰瘍性大腸炎は「腸の炎症や補修でエネルギーが必要」なので、効率のよい食品であるといえます。また、「便づくり」や「健康」をサポートをする物質が存在しているんですね。
白米に含まれる「レジスタントスターチ」は、食物繊維に似た働きをします。つまりですね、善玉菌のえさになり「短鎖脂肪酸」がつくられるということです。
短鎖脂肪酸は、腸内環境と全身の健康を整える作用がありますが、潰瘍性大腸炎は、もともと腸内細菌の乱れがあり少ないんですね。
「白い炭水化物」はあなたを不健康にするといった内容の記事を見かけますが、どの食品も食品自体に問題はありません。偏り・過剰摂取などの行動が問題なんですね。
ぜひですね、おいしいお米を日々の食卓に。そして「短鎖脂肪酸」を増やしてほしいと思います!
腸内環境改善を目指しましょう。それではこのへんで。

今日もありがとうございました。

お体ご自愛下さいね
参考文献
- 食品成分表 2021 女子栄養大学出版
- JAグループ/お米の種類と栄養