- 便が形にならない
- おならの臭いが強い
- 肛門やお腹の違和感がある
- お腹がいつもグルグル鳴っている
- 体力がなく体調を崩しやすい など
すっきりとしない症状がつきまとい、日々の生活が重く・つらいものになっていませんか?

こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
これまでの苦労や経験を活かし
みなさんの症状が少しでも改善されますよう、
医療者としてご提案・ご案内をしていきたいと思っています

便づくりのエキスパート、【食物繊維】その2
【食物繊維】というと、潰瘍性大腸炎の場合、繊維の刺激で症状が悪化しそう、摂って大丈夫なの?
という心配があがると思いますが、うらはらに、便づくりのサポートをしますので、
積極的に摂っていただきたい食品なんですね。
【食物繊維】には、不溶性と、水溶性の2種類があり、それぞれの役割を持っていますが、
今日は、水溶性の【食物繊維】にフォーカスをし、その健康作用と、食品選びなどについて、
一緒に見ていきたいと思います。
水溶性食物繊維と潰瘍性大腸炎
【食物繊維】といえば、便秘対策やダイエットを思い浮かべますが、
実は潰瘍性大腸炎の、「下痢や軟便」にも効果があるんですね。
便のカサを増やし、形づくりますので、便通の改善が期待できるうえ、
腸内細菌のエサになり環境を整える、腸粘膜のエネルギーとなり、修復を助ける、
炎症を抑える、などの作用を持っています。
環境が整うと、おならの臭いが変わってきますよ。


下記の記事を、あわせてご覧下さい
作用・効果
「善玉菌の栄養源となり、 善玉菌を増やし、腸内環境を良好に保つ」
これが、【水溶性食物繊維】の中で、おもに「腸」に関係した作用になります。
便のカサを増し、排便をスムーズにする「不溶性食物繊維(ふようせいしょくもつせんい)」に対し、
【水溶性食物繊維】は、善玉菌のエサになって、腸内環境を改善します。
その過程で生成される、短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)の働きに、
近年、注目が集まっているんですね。

下記は、短鎖脂肪酸の役割です。
- 消化管の上皮細胞(じょうひさいぼう)を増殖させる
- 大腸の動きを良くする
- 大腸で粘液(ねんえき)分泌の促進
- 大腸のエネルギー源となる
- 免疫細胞の機能に影響を与える
- ナトリウム・水の吸収促進
- 腸内を弱酸性に保つ
「大腸のエネルギー」になるという事は、新陳代謝が高まり、粘膜を良い状態にします。
分泌された「粘液」は、腸の粘膜を覆い、細菌の侵入を防ぎます、バリア機能が強化されるわけですね。

「ナトリウムや水の吸収」により、下痢を改善します
また、腸内環境を弱酸性にし、有害な菌の増殖や、過剰な免疫反応を、抑える作用があります。
「短鎖脂肪酸」は、お腹の調子を整えるだけでなく 、「全身の健康を整える」働きを持っているんですね。
1950年頃は、日本人の「平均食物繊維・摂取量」は、「24g」だったそうです。
現代は、穀類・いも類・豆類・玄米・大麦、などの摂取が減少し、「 13~14g」 と低下しているんですね
【食物繊維】の摂取量低下とともに、お腹の病気が増加している、という事実を知っていただきたいと思います。

摂取・目標量と食品
なぜ今回、【水溶性食物繊維】にフォーカスしているのか。

それは圧倒的に、【水溶性食物繊維】の摂取量が少ないからです。
どの食品も、その100%が、【水溶性食物繊維】ではないんですね。
不溶性・水溶性、の両方が一定の割合で含まれているのです。
例えば、サツマイモ「中1/2本」は 、「水溶性 0.6g」:「不溶性 1.7g」が、含まれており、
食物繊維・総量は「2.3g」、となるわけです。
水溶性の割合の大きい食品が、なかなか存在していないことも、原因の一つと言えるでしょう。
目標量

目標量は、男性「21g以上」、女性「18g以上」で、不溶性と水溶性を、合わせた数字です。
そのバランスが大切で、割合は、「2:1」と言われています。
【食物繊維】 を「20g」摂るには、野菜「350g」が必要ですが、そのカサは多く、
お腹の弱い方は、無理に摂取すると、胃腸に負担をかけてしまいます。
ご自分の病期や体調、合わない食材を知るなどして、
野菜であれば、「150~200g程度」を、丁寧に摂取することを、考慮しましょう。
おすすめの食品
- にんじん・大根・カブ
- 白菜・キャベツ
- ほうれん草・玉ねぎ
- じゃがいも・さつまいも・さといも
- カリフラワー・ブロッコリー
- 皮を剥いたトマト、なす、きゅうり
- りんご・もも・バナナ・缶詰
- 果肉を含むジュース
- オートミール
- サイリウム

サプリメント
潰瘍性大腸炎は、バランスのとれた食事をすることが、難しいです。
次にような行動が、三大栄養素だけでなくビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取を困難にしています。
- 不快感のある食品を避けなければならない
- 食事自体を控えてしまう・食欲がない
- 肉や野菜・乳製品など一定の食品を控えてしまう
私たちは健常者と比べると、栄養状態がアンバランスになりやすいため、
上手にサプリメントを利用していきましょう。
おすすめ
サイリウム(オオバコ)
【水溶性食物繊維】の、割合の多い食品が少ないという、お話をしましたが、
こちらの「サイリウム」は、100%【水溶性食物繊維】なんですね。
水気に合うと、もったりと粘るこの特性が、便づくりに役立ち、
善玉菌のエサになりますので、ぜひご利用くださいね


この外皮に、たっぷりと含まれています
用法・用量
一日、「16g」までの利用となっていますが、基本は食品からですので、
不足の部分を補う、という感覚を忘れないようにしてください。
大さじ一杯「8g」につき、コップ・1杯の水分を目安としますが、
【食物繊維】は「水分」がないと、十分な効果を出すことが出来ないんですね。
ですので、一日を通して、たっぷりと補うようにしてください

水分は、水以外でも可能です。
酸味の効いた、オレンジジュースとの相性はいいですよ。時間を置くとオレンジゼリーになります♪
食事や、お菓子作りにも利用可能です。


過剰摂取は、胃痛や下痢の原因になりますので、用量を守りましょう。
一部のお薬と、相性が悪い場合がありますで、内服治療をしている方は、
主治医・薬剤師に相談してくださいね。
- てんかん薬(カルバマゼピン)
- 安定剤(炭酸リチウム)
- 心臓の薬(ジギタリス製剤)
- 高脂血症・緩下剤
- 鉄剤
- ワーファリン
- 糖尿病薬など

腎臓・肝臓の悪い方、妊婦・授乳婦はご相談ください
まとめ

いかがでしたでしょうか
腸内環境を、改善するために必要なこと。
それは、今お腹にある「善玉菌」にエサを届けることです。
今回お伝えした【水溶性食物繊維】が、そのエサなんですね。

善玉菌が活発に働くと、健康作用の多い、「短鎖脂肪酸」が生まれ、
腸を修復し、動きを良くし、バリア機能を高めてくれます。
腸内環境が整うということは、免疫力を高めることに繋がりますので、
ぜひですね、【水溶性食物繊維】を、積極的に摂っていただきたいと思います。
症状の改善を目指し、一緒に頑張っていきましょう。

今日もありがとうございました

お体ご自愛下さいね

参考文献
- 食品成分表 2021/ 女子栄養大学出版
- 健康21シリーズ14/斉藤恵子/女子栄養大学出版
