- 体力・集中力の低下
- 風邪をひきやすい
- 下痢・軟便
- 貧血・むくみ
- 腰痛・肩こり・抜け毛
- 食事を控えてしまう
- タンパク質をどれくらい摂取したらよい?

こんなお悩みはありませんか?
こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

いのちの源、タンパク質!
私たちの、体やこころを作るタンパク質は、体内で約1/5 を占めています。
不足をすると、体力だけでなく、免疫力や思考力など、
体全体の機能低下を、引き起こしてしまいます。
潰瘍性大腸炎では、炎症や腸粘膜の修復でタンパク質を失い、
食の事情で十分な摂取ができないこともあり、不足のリスクを背負っているんですね。
今日は、1日のタンパク質の目安量や、健康作用、食品からの取り入れ方などを
一緒に見ていきたいと思います。
タンパク質の摂り方
1日どれくらい摂るか

さっそく算出してみましょう
潰瘍性大腸炎は、寛解期(かんかいき)や活動期があり、段階に応じて算出をします。
寛解期は、病状が落ち着いている時期、
活動期は、炎症が強くつらい症状を伴う時期です。
下記の式で、1日のタンパク質の目安を、求めることが出来ます。
- 【標準体重】×【0.8~1.0g】(寛解期)
- 【標準体重】×【1.0~1.2g】(低栄養)
- 【標準体重】×【1.2~1.5g】(低栄養+炎症強い)
- 【標準体重】×【1.5~2.0g】(症状が重篤)
右の数字は、「体重・1㎏」に対して必要なタンパク質量です。

まず、標準体重を算出しましょう
- 【身長m】 × 【身長m】 × 22 = 標準体重

例えばですね、算出された「標準体重」を、50kgとし
病状の段階設定を、「低栄養」の状態にしたとしましょう。
計算式は、「50kg」×「1.0~1.2g」ですね。
掛け合わせた「50~60 g 」という値が、1日のタンパク質量となるわけです。
タンパク質の作用・過不足

タンパク質の作用を見てみましょう。
- 筋肉・皮膚・髪の毛・爪をつくる
- 体を調整する、ホルモンの材料になる
- 有害物質から体を守る、抗体の材料になる
- 消化などをサポートする、酵素の材料になる
- こころを安定させる、脳内物質の材料になる
- 全身に酸素を運ぶ、ヘモグロビンの材料になる
タンパク質は、体の組織を作るだけでないんですね。
ホルモンや体を守る免疫、こころの安定など、全体的に関係していることがわかります。
こうした活動を維持するため、毎日しっかりと摂取しなければいけません。

潰瘍性大腸炎とタンパク質不足
潰瘍性大腸炎は、炎症と、腸のただれや潰瘍を修復するため、タンパク質を消費します。
病気ゆえ食事を控えてしまったり、つらい症状が原因で食べられないこともあり、
全体的に栄養素が不足してしまうんですね。

実は高齢者に同じようなことが起きています。
人は加齢により、身体機能が低下していきます。
お口の中や、飲み込みの様子、胃腸の機能低下に伴って、食事量が減少していくんですね。
高齢者は十分な食事摂取ができず、栄養不足・タンパク質不足を招き、
やがて体の機能が維持できなくなります。
歩けない・寝たきりなどの、要介護の状態を迎えることになります。

このような状態を「サルコペニア」といいますが、生活の質がグッと下がるため、
高齢者の、1日のタンパク質量が見直されたんですね。
栄養素が不足することの怖さを、ぜひ知っていただきたいと思います。
過剰
過剰による体への問題点を上げておきましょう
- たんぱく質は、脂質も含まれるため、カロリーオーバーになりやすい
- お肉ばかりだと、それをエサにしている、悪玉菌が増え腸内環境が乱れる
- 結石ができやすくなる
- 体が酸性に傾く
タンパク質の特徴

アミノ酸の集まりがタンパク質です
お肉やお魚、牛乳やお豆腐は、すべてアミノ酸の集合体です。
私たちの体もそうですね。
アミノ酸は20種類あり、食品から取り入れる必要がある「必須アミノ酸」と、
体の中で作られる「非必須アミノ酸」にわけられます。

アミノ酸スコア
「アミノ酸スコア」とは、簡単に言うと、タンパク質のバランスの良さ。
最高値である「100 」を示す食品が、優秀なタンパク質です。
必須アミノ酸の9種類が、不足することなく含有されている食品を指します。


下記は、アミノ酸スコア 100 の食品です。
- 鶏卵
- 鶏肉/牛肉/豚肉
- 魚・貝
- 牛乳/ヨーグルト・チーズ
- 大豆・大豆製品
- イモ類
- アボカド・ブロッコリー
- ほうれん草 など

アミノ酸スコア「100」に届かない食品は、どう考えればよいでしょうか。
例えば、「ごはん」のアミノ酸スコアは「82」、足りない必須アミノ酸は、「リジン」ですが、
ここに、リジンを多く含む「納豆」を追加することで、スコアが補正されます。
「体が喜ぶ食べ方」は、アミノ酸スコアを「100」に近づけることですので、
食品の組み合わせを、工夫するとよいでしょう。
また、アミノ酸は脂質のように蓄えることができません。
毎日入れ替わっていくものですのですから、
アミノ酸(タンパク質)をしっかりと摂取していきましょう。
タンパク質食品

おもなタンパク源を見ていきましょう
さかな
さかなの魅力は、炎症を抑える「オメガ3」を含んでいることです
「DHA」や「EPA」のことですね。
特に青魚がおすすめです
- いわし
- さば
- さんま
- さけ
- まぐろ

生鮮も良いですが、缶詰もおすすめです。
新鮮なものをすぐに加工処理しますので、栄養素がたっぷり残っているんですね。
手間をかけず、美味しくいただけますので、ぜひご利用ください

肉
お肉を避けていませんか?
潰瘍性大腸炎は、何のお肉がダメです、ということはありませんが、
お肉は、炎症の発現や増強に関与する「n-6系の脂質」を含むことを忘れないでください。
摂り過ぎはいけませんね。食事の基本、低脂質に配慮をしましょう。
脂身の少ないものを選んだり、下準備や調理方法で、脂質を大幅にカットできます
下記は、おすすめのお肉です。
- 鶏むね肉
- ささみ
- 脂肪を極力除いた牛肉
- 脂肪を極力除いた豚肉
加工されたお肉は、保存料・硝酸塩・香辛料・塩分などが入っており、
炎症を起こす原因になりますので注意しましょう。
お肉は毎日というより、週に何度か利用するイメージが良いでしょう。

鶏卵
たまごも優れたタンパク質です。
取り入れやすい食品ですが、意外と脂質が含まれていますので、
調理で使う油の量に、気をつけましょう。
目玉焼きや、スクランブルエッグよりは、ゆで卵・温玉・ポーチドエッグがおすすめです。

油のいらないフライパンがあると幅が広がります

大豆・大豆製品
植物性のタンパク質です。
お肉や牛乳の代わりに利用している、というかた多いかもしれませんが、注意点があります。
特に女性の方ですね。

大豆製品に加え、更年期対策のためのサプリメントの利用をしていると、
イソフラボンの摂取量を、容易に上回ってしまうんですね。
原因は明らかになっていませんが、イソフラボンの過剰摂取は、
女性の潰瘍性大腸炎の発症リスクになるかもしれない、という発表がありました。
栄養素が偏らないように、気をつけましょう
- 豆乳
- 豆腐
- 凍り豆腐
- 納豆(ひきわり)
- きな粉

牛乳・乳製品
牛乳や乳製品を上手に利用していますか?
タンパク質だけでなく、カルシウムやビタミンDなどの栄養素を補えます。
潰瘍性大腸炎は、牛乳を飲んでもいいのかな、お腹の症状が出たりしないかな、
そんな心配があるかたは、ぜひ下記の記事をご覧下さいね

プロテインの記事も併せてご覧ください
まとめ

いかがでしたでしょうか
タンパク質は、スポーツ・フィットネス・医療・高齢者・介護・メンタル治療など
さまざまな現場の問題と向き合っています。
いのちの源が不足すると、体全体の機能を維持できなくなってしまうんですね。
潰瘍性大腸炎では、病態や食事情により不足しやすい傾向にあります。
1日の目安量を、把握できましたでしょうか?
数字キッチリでなくてかまいませんが、その値を目指すよう心がけてくださいね。
症状の改善を目指して、一緒に頑張っていきましょう。

今日もありがとうございました

ありがとうございました

参考文献
- 食品成分表 2021 女子栄養大学出版
- 健康シリーズ21 女子栄養大学出版
- メニュー画像レシピ/引用元:COOKPAD
