- 疲れやすい
- 風邪をひきやすい
- 不安になる
- ストレスを感じる
- 肌のトラブル
- 髪のパサつき
- 脂質の摂取を控えてしまう
- どれくらい摂ったらよい?
- どんな脂質が良い?

こんなお悩みはありませんか?

こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

【脂質】は悪者ではありませんよ!
あなたは、潰瘍性大腸炎のため、脂質を控えすぎていませんか?
低脂質の食事にする理由は、「腸を安静にする」ためなんですが、
そればかりに気をとられ、不足しては元も子もありません。
脂質は、効率よくエネルギーを作り出すほか、
脳や体の組織をつくり、それらを調整をしているんですね。
今日は、脂質の1日の目安量を知り、過不足がないか、どのように取り入れるかなどを
一緒に見ていきたいと思います。
1日の目安量とポイント
1日の目安量
1日の脂質目安量は、「1日のエネルギーの20~30%」と示されています。
この割合が、健康維持・増進のための比率です。
- 炭水化物:50~65 %
- 脂質:20~30 %
- タンパク質: 13~20 %


1日のエネルギーを「2000kcal」として、算出してみましょう
20~30% × 2000kcal ÷ 9kcal/g = 44g~66g
「9kcal」は、脂質1gが作り出すエネルギーですよ。
ここでは、1日のエネルギー量が、2000kcalの場合、
およそ「40~60g」の脂質を、必要とする事がわかりました。

クローン病では、1日30g以下と決められています。
脂質の摂取量を減らすことで、再燃を予防する効果があるからなんですね。
潰瘍性大腸炎は、一般成人と同じように、目安量を算出をしますが、
「一回の食事で摂りすぎない」、という注意が必要です。

1日のエネルギーの算出の方法は、下記の記事をご覧くださいね
脂質摂り方
寛解期では、脂質の制限はないと示されることがありますが、
潰瘍性大腸炎の食事は、「低脂質」が基本にあることを忘れないで下さい。
病状が落ち着いたことを理由に、脂質コッテリ・無制限の食生活を送ることは避けましょう。

低脂質にする意味は「腸を安静」にするためです。
私たちが食事を摂ると、胆のうから「胆汁(たんじゅう)」が分泌されるのですが、
その役割は、「脂質を分解」すること。
胆汁の成分である「たんじゅうさん)」は、大腸内に水分を増やし、
腸の動き起こさせる「下剤」のような役割がありますので、
たくさんの胆汁酸が大腸に届くと、大腸を刺激して下痢や腹痛を起こしてしまうんですね。
腸へ負担をかけないよう、1回の食事で摂る脂質を「10~15g」程度に抑えましょう。

特徴・作用
脂質の特徴は、なんといっても「高エネルギー」ということです。
1g につき、「9kcal」のエネルギーを発生するんですね。
これはタンパク質・炭水化物と比較すると、約2倍の量です。
作用

脂質の作用を見てみていきましょう
- 脳の成分となり、脳の健康を保つ
- ホルモンの構成成分となる
- 38兆個の細胞膜を構成する
- 脂溶性ビタミンの吸収を促す
- 体温保持や活動のエネルギーとなる
「脳」に関係していることを、ご存知でしたか?
実はですね、水分を除いた脳の60%が、脂質で構成されています。

脳は、油っぽい組織なんですね
神経細胞と、神経の伝達に関りを持っていますので、
不足すると、伝達がスムーズに行われないんですね。
脳の回転を維持するため、常にフレッシュな油を注ぐ必要があります。


また、ビタミンA・D・E・Kの吸収を促進します
そのため、脂質の不足によって、各ビタミンの役割が損なわれます。
各ビタミンの役割を見てみましょう。
- A:免疫維持・感染予防・目 皮膚 爪の健康を保つ
- D:骨や歯の発育促進する
- E:血管や細胞の老化防止・抗酸化作用をもつ
- K:血液凝固作用・丈夫な骨づくり
潰瘍性大腸炎は、低脂質が基本にあることや、
食事が摂れない・控えてしまうなどの食の事情から、
不足しやすい傾向にあることを、忘れないでくださいね。
脂質の種類と食品
脂質には、常温で固まっている「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」と、
液体の「不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)」にわけられます。

飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)
下記は、飽和脂肪酸が含まれる食品です
- ラード
- 乳製品
- ココナッツ
- 脂身の多い肉
- チョコレート/洋菓子
- インスタントラーメン
- ソーセージ/ベーコン/ロースハム
不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)
不飽和脂肪酸は、サラサラしています。
化学構造上、1つの空きがあるものを、「一価不飽和脂肪酸(いっかふほうわしぼうさん)」、
多くの空きがあるものを、「多価不飽和脂肪酸(たかふほうわしぼうさん)」といいます。
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸は、オメガ9の脂肪酸で、オレイン酸などがあります。
オレイン酸は、循環器系の疾患を抑制し、
潰瘍性大腸炎では、「炎症を悪化させる化学物質」をブロックし、
発症リスクを抑えたという報告があります。
普段使いの油は、「オメガ9」のオリーブオイルへ、切り替えることをお勧めします。
下記は、n-9系の油です
- オリーブオイル
- 米油
- アーモンドオイル
- アボカドオイル
- アーモンド
- マカダミアナッツ
- なたね油
- べにばな油
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は、オメガ6と、オメガ3があります。
両者のバランスが崩れることで、
潰瘍性大腸炎の発症を促進するのではないか、と考えられているんですね。
日本人の食事では、オメガ6 である「リノール酸」の過剰摂取が指摘されています。
両者を、バランス良く取り入れることが大切です。

【オメガ3】:【オメガ6】 = 1 : 4 が理想的とされています。
オメガ6(n-6系)
オメガ6は、アラキドン酸と、リノール酸があります
下記は、それぞれの健康作用です。
n-6系 | 作 用 |
アラキドン酸 | 認知機能改善 |
リノール酸 | コレステロール下げる |
オメガ6は、体に良い作用を持ちますが、
摂りすぎると炎症が促進し、免疫機能が低下してしまいます。
疫学研究で、炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)の、
発症リスクが高まることが明らかとなっていますので、気をつけましょう
1日の目安量は、成人女性「8~9g/日」、成人男性「10~13g/日 」です
下記は、n-6系の油を含む食品です。
- たまご/マヨネーズ
- 豚バラ/牛カルビ
- ポテトチップス/菓子類
- パン/総菜などの加工食品
- カップ麺
- ファーストフード
- ごま油/コーン油
- 大豆油/グレープシードオイル

「目に見えにくい油」が存在していますので、気をつけましょうね
オメガ3(n-3系)
オメガ3は、植物由来の「αリノレン酸」と、
魚介由来の「DHA」「EPA 」の3つに分かれます
1日に目安量は、成人女性「1.6〜2g/日」、成人男性「2〜2.4g/日」と示されています。
下記は、それぞれの健康作用です。
n-3系 | 作 用 |
αリノレン酸 | アレルギー抑制効果 抗血栓 血圧を下げる |
DHA | 記憶・脳神経活性 うつ・認知機能改善 |
EPA | 動脈硬化予防 中性脂肪下げる 脳血管疾患予防 |
オメガ3は、炎症を直接抑制する効果が、認められているんですね。
潰瘍性大腸炎に、適した脂質と言えますので、積極的に取り入れていきましょう。
続いてオメガ3を含む食品です。
- 亜麻仁油
- えごま油
- なたね油
- くるみ
- マグロ/ブリ
- サケ/サバ
- イワシ/さんま

サバの缶詰100gは、オメガ3を「2.73g」含んでいますので、1日量をまかなえますね。
また、手間をかけずに美味しくいただけることも魅力です。
お魚が苦手という方は、アマニやエゴマ油をご利用ください
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸、「食品に天然に含まれるもの」と、
「人工的な加工や精製で生じるもの」、があります。
天然に含まれている食品は、牛肉・羊肉・乳製品などです。
問題とされているトランス脂肪酸は、人工的に作られたものであり、
アメリカでは、2018年以降、その使用を全面的に禁止しています。

脂質に偏った食生活を続けることで、
循環器系やアレルギーの病気・肥満などが増えることが示唆されています。
とはいえ 脂質は、体にとって必要な栄養素ですので、毎日取り入れていく必要があるんですね。
1日の目安量と・脂質全体のバランスに配慮をしていきましょう。
同じ脂質を摂取するならば、「体にとって害の少ないもの」を選択してくださいね。

トランス脂肪酸を含む食品をご覧ください
- インスタント食品
- レトルト食品
- ポテトチップス
- コーヒーフレッシュ
- ショートニング
- ファストブレッド
- マーガリン
- パン・洋菓子類
- スナック菓子
- その他
まとめ

いかがでしたでしょうか。
脂質は、効率よくエネルギーを作り出すほか、
脳や体の組織をつくり、それらの調整を行っているんですね。
1日の脂質の目安量を、把握している・していないとでは、認識が大きく変わります。
潰瘍性大腸炎だからと、腸を安静にすることばかりに気をとられず、
必要な分は、しっかりと取り入れるようにしてくださいね。
良質な脂質選びを、心がけましょう

今日もありがとうございました

お体ご自愛下さいね

参考文献
- 食品成分表 2021 女子栄養大学出版
- 健康シリーズ 14/斉藤慶子 女子栄養大学出版
- 脳と心に効くアブラ/東北大学副学長/大隅 典子
