- 疲れやすい
- 体力が落ちた
- 思考や判断・注意力が低下した
- 口が渇く・口臭が気になる
- 便が形にならない
- 炭水化物を控えてしまう
- 炭水化物をどれくらい摂ったらよいかわからない

こんなお悩みはありませんか?

こんにちは
看護師のたかはしです
ナース歴・潰瘍性大腸炎歴はともに20年以上となりました。
あなたの症状が少しでも改善されますよう、これまでの苦労や経験を活かし、医療者としてご提案・ご案内をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします!

熱と力のもと、【炭水化物】!
近ごろ、「炭水化物を抜くと体が蘇る」 「白米を今すぐやめなさい」
「白い炭水化物があなたを不健康にする」など、ずいぶん悪者扱いをされているんですよね。
小さい頃から、お米を食してきた私たちにとって、少々戸惑ってしまう内容ばかりです。
問題は過剰摂取や、ダイエット・炭水化物を別の食品に置き換えるなどの、
偏った行動にあり、食品自体に問題はないんですね。
潰瘍性大腸炎では、主食の【炭水化物】をしっかり摂ることが重要です。
1日のエネルギー量と、そのエネルギー量のなかで、
炭水化物をどれくらい摂ったらよいのかを、今日は、一緒に見ていきたいと思います。
三大栄養素をバランスよくいただく、ということが大切ですよ。
1日に必要なエネルギーと炭水化物
①1日のエネルギー量
一日のエネルギー量を計算するため、まず標準体重を知る必要があります。

標準体重とは、
「肥満も痩せもなく、一定期間内の死亡リスクや、病気にかかる率が有意に低いなど、
最も健康的に生活が出来る、と認定された理想的な体重のこと」、をいいます。
下記の式で算出できます
- 身長m × 身長m × 22
身長「160㎝」で計算してみましょう
1.6 × 1.6 × 22 = 56.32㎏

「56.32kg」が標準体重ですね
算出された標準体重に 、「体重1㎏に対して必要なカロリー」 をかけることで、
1日のエネルギー量を知ることができます。
- 標準体重 × 体重1㎏に対して必要なカロリー
「体重1㎏に対して必要なカロリー 」 は、個々の年齢や活動量により変わってきます。
潰瘍性大腸炎では、「炎症」という部分が、加味された数値であると考えてよいと思います。
炎症はエネルギーを使う病態ですからね。

一般成人は、およそ「28~30kcal」。
潰瘍性大腸炎の寛解期は「35kcal」、再燃期は「40kcal」です
- 標準体重 × 35kcal
寛解期で算出してみましょう
56.32kg× 35kcal= 1971.2kcal

1日のエネルギー量は 「1971.2kcal」となりました
②炭水化物の割合を知る

1日のエネルギー量に対して、下記の比率が 健康維持・増進のための目安です
- 炭水化物:50~65 %
- 脂質:20~30 %
- タンパク質: 13~20 %
わかりやすく、1日のエネルギー量を「2000kcal」、
炭水化物の比率を「65%」とし、計算してみましょう。
65% × 2000kcal ÷ 4kcal/g = 325g
1日の炭水化物の量は、およそ「325g」 ということがわかりました。

食品の重さではなく 炭水化物の量ですよ
ご飯は、お茶碗1杯 「150g」あります。
2杯いただくと「300g」になりますが、
それはご飯の重さであり、炭水化物の量ではありません。
ご飯150g中に含まれる炭水化物は、「57.1g」ですので、間違えないようにしましょう。
おいしい炭水化物
特徴・役割
炭水化物は、脂質とタンパク質と同じように、エネルギーとなる栄養素です。
炭水化物は、1g 「4kcal」のエネルギーを作り出します。
脂質と比較すると、1/2になりますが、消化吸収に優れているという特徴があります。

下記は、それぞれの栄養素「1g」につき、発生するエネルギーです
- 炭水化物: 4kcal
- タンパク質: 4kcal
- 脂質:9kcal
【炭水化物】は、「糖質」と「食物繊維」からできているんですね。
糖質は消化を経て「ブドウ糖」に変わり、脳や心臓・その他臓器のエネルギーになります。
余分なものは、脂肪として貯蔵され、必要な時に分解・エネルギーとして使われます。

一方で食物繊維は、消化を受けず大腸まで運ばれます。
以前は食べ物のカスとして扱われていましたが、腸内環境改善など健康作用が認められ、
現在は「第6の栄養素」と呼ばれているんですよ。
潰瘍性大腸炎のため、食物繊維を敬遠していませんでしたか?
活動期や腸に狭窄があるなど、問題がなければ積極的に摂っていただきたい食品です。
下記は、食物繊維の健康作用の一部です
- 善玉菌の栄養源となり 善玉菌を増やし腸内環境を良好に保つ
- 便の容積を増やしてくれる
- 有害物質を吸着して便と一緒に体の外へ排出する

詳しくは 食物繊維の記事をぜひご覧ください
症状改善を目指す手がかりになれば幸いです
潰瘍性大腸炎と炭水化物
潰瘍性大腸炎は、熱や炎症によりエネルギーを消費し、
傷んだ腸粘膜を修復することにも、エネルギーが必要です。
1g 9kcalを発生する「脂質」を摂取すれば、エネルギーを確保しやすいですが、
消化吸収に関しては、炭水化物に劣るんですね。
潰瘍性大腸炎の主食に適しているのは、【炭水化物】です。
消費に間に合うように、十分なエネルギーを確保しましょう。
過不足
炭水化物の摂取で気をつけることは、過剰摂取や偏りです。
1日の目安量を超えて摂取すると、中性脂肪に変わり、体脂肪として蓄積されたり、
歯を溶かす有機酸を産生するなど、生活習慣病を引き起こしてしまいます。

不足についてですが、「エネルギー不足」 に直結します。
体のだるさ・疲労感・スタミナや体力が落ちるだけでなく、
思考や判断力・注意力の低下など、脳に関係した症状もあります。
その際、体内に蓄えられたタンパク質や脂肪を分解し、
エネルギー不足を補うため、「痩せ」を引き起こしてしまうんですね。
病状によるエネルギーの喪失、ご飯が食べられない、控えめにするなどの他、
一般的なところでは、極端なダイエットも原因となっています。
食品

下記は、炭水化物を多く含む食品です
- ごはん
- パン/パスタ
- 玄米/もち
- うどん/そば/中華麺
- くずきり/はるさめ
- サツマイモ/ジャガイモ
- 豆類
- かぼちゃ
- バナナ/りんご
- 菓子類

主食となる炭水化物のほかに、野菜や豆類・菓子類などにも含まれています。
原材料が小麦粉のうどんやパスタは、カロリーを摂りやすい食品ですが、
おすすめはやはりお米ですね。
消化吸収に優れていることと、粒が残る炭水化物は、
便づくりをサポートする作用があるからなんですね。
また、健康作用のある「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」を増やす手助けをしますので
お米の利用をすすめしています。

パンについてですが、
クローン病は、パン酵母が「抗原」となる方が多いと言われています。
つまり体に合わない、ということですね。
潰瘍性大腸炎では、そのような状態になることが少ないため、
主食として利用することができます。ただし、脂質の関係がありますので、
パン選びには気をつけましょう。
食パンやフランスパンは、がおすすめですね

お米についての記事をご覧ください
まとめ

いかがでしたでしょうか
潰瘍性大腸炎が、エネルギーを必要とする理由は、
炎症や熱による消費・傷んだ腸管を修復するためなんですね。
私たちは、主食を【炭水化物】からしっかりと補う必要があります。
一番防ぎたいことは、不足による体重減少です。
数字きっちりでなく、おおまかで良いですから、
とにかくですね、1日のエネルギーと、炭水化物が不足しないよう心掛けていきましょう
症状の改善を目指して。

今日もありがとうございました

お体ご自愛下さい

参考文献
- 食品成分表 2021 女子栄養大学出版
- 健康シリーズ14 斎藤恵子 女子栄養大学出版